「化粧品カウンターを辞めて、革職人になった話」
革のことなど、何も知りませんでした。
きっかけは、ママ友の一言でした。
工業用ミシンを一台、自宅に置くところから始めました。縫い方も、革の扱い方も、最初は何もかもが手探りでした。それが今では、伝統工芸品を手がける会社から外注として依頼をいただき、気づけば10年以上が経っています。
百貨店の化粧品カウンターで働いていた頃、仕事は楽しかったです。
華やかな空間、お客様の「ありがとう」、充実した毎日。それでも心のどこかに、ずっとひっかかりがありました。
「いつか、家で仕事ができたら」
通勤時間、時間通りに進めなければならない朝の家事と支度、そのじわじわとしたストレス。子どもができたら、もっと難しくなる。出産前からそれはわかっていました。
産休・育休を経て、約一年。復帰を考えたとき、現実が目の前に立ちはだかりました。
夫の仕事は朝早く、夜遅い。保育園に預けたとしても、迎えに間に合わない。
でも、それよりも深いところで、自分にこんな問いが生まれていました。
「そこまでして、預ける必要があるのか」
答えは出ていました。私が家にいれば、送り迎えができます。側にいられます。寄り添えます。
退職を選びました。
バイトに出たこともあります。でも二人目の妊娠とともに辞めました。
そこからが、在宅ワーカーとしての本当のスタートでした。
そんなとき、ママ友に声をかけてもらいました。
「家でできる仕事は、時間も束縛されずにできるから子どもの急な発熱や行事も参加できるし、習い事の送迎も自分でできるから子供がやりたいこと叶えられるよ!」
その一言が、ずっと心の中にあった「家で仕事がしたい」という気持ちに、火をつけました。
革のことは何も知らないまま、工業用ミシンを家の小さなワークスペースに一台置いて、始めました。不安より、やってみようという気持ちの方が大きかったです。
紆余曲折を経ながら、伝統工芸品を手がける会社から外注として依頼をいただけるようになりました。化粧品カウンターで磨いた「丁寧に、誠実に」という感覚は、革を扱う仕事にも不思議なほど生きています。
今は野球少年と娘の二人を育てながら、自宅で革と向き合う毎日を送っています。遠回りをしながら、でも確かに一本道を歩んできました。
このブログは、そんな私のリアルな記録です。
在宅で働きたい。手に職をつけたい。子どもの側にいたい。
そう思っているママの、最初の一歩に寄り添えたら嬉しいです。
