やったことは、たった一本の電話でした。
革のことなど、何も知りませんでした。ミシンに触ったこともほとんどありませんでした。それでも電話を掛けたのは、ママ友のあの一言がずっと頭から離れなかったからです。
「家でできる仕事は、時間も束縛されずにできるから子どもの急な発熱や行事も参加できるし、習い事の送迎も自分でできるから子供がやりたいこと叶えられるよ!」
在宅で働きたいとは思っていました。でも、何ができるかわからなかった。資格もない、特別なスキルもない。そう思って、ずっと動けずにいました。
初心者でもできる仕事はありますか?
革製品を取り扱うメーカーで外注で仕事を依頼している・・・という情報を得て直接電話しました。
とにかくウジウジしていても状況は変わらない!!
よし!電話して聞いてみてダメなら他にあたろう!!と、まさにエイヤー!!でした。
電話口で、正直に伝えました。

革の経験はゼロです。
でも、家で仕事がしたいんです
なにか仕事はありませんか?
返ってきた言葉は、思っていたより温かいものでした。

ミシンはありますか?
今ならこういう仕事がありますよ。練習すればできるから
一度会社まで来てください。
お待ちしています。
電話を切った後、自分でも笑えるくらい緊張していました。頭が真っ白で、何を話したかあまり覚えていないくらいです。
でも、動いてよかったと思いました。「やってみれば、なんとかなるかもしれない」という小さな希望が持てたからです。
道具も素材も、全部用意してくれた
てっきり自分で材料を揃えるものだと思っていました。工業用ミシンは自宅に置くとして、革の素材や道具はどこで買えばいいのか、そもそも何を買えばいいのかすら、わかりませんでした。
でも違いました。
練習用の道具も、素材も、工程の説明も、全部会社側が用意してくれていたんです。丁寧に教えてもらいながら、少しずつ手を動かしていきました。
今思えば、会社側も「育てよう」としてくれていたんだと思います。その気持ちに応えたくて、必死に練習しました。
練習の1ヶ月は、正直しんどかった
練習期間は約1ヶ月。短いようで、なかなか濃い1ヶ月でした。
まず苦労したのは、工業用ミシンの扱いです。家庭用ミシンとはまるで別物でした。スピードも、力も、音も、何もかもが違いました。最初はまっすぐ縫うことすら満足にできなくて、何度やり直したかわかりません。
革の素材にも戸惑いました。布のように柔らかくない。針の通り方も、引っ張ったときの感触も、扱い方のコツが全然違いました。素材を無駄にしてしまうたびに、申し訳ない気持ちになったこともありました。
工程を覚えることも、思った以上に大変で、一つひとつの手順に理由があって、順番を間違えると仕上がりが変わってしまいます。子どもが寝た後に工程を頭の中でおさらいしながら、また工程を動画で撮影したものを何度も復讐しては翌日また手を動かす。そんな日々が続きました。
継続した結果、少しずつできるようになって、ミシンが言うことを聞いてくれる瞬間が増えて、革の扱い方がわかってくる瞬間がある。その小さな手応えが、続ける理由になっていました。
私が作ったものが、店頭に並んだ
初めて納品したとき、嬉しかったです。そして緊張しました。
自分が作ったものが、お店に並ぶ。誰かの手に渡る。化粧品カウンターで働いていた頃とはまた違う、じわじわと広がるような嬉しさでした。
革のことを何も知らなかった自分が、伝統工芸品の一部を作っている。その事実が、なんだか不思議で、でもとても誇らしかったです。
今の働き方
今は納期に合わせて仕事量に波がある働き方をしています。忙しい時期もあれば、余裕のある時期もある。でもそれが、子育てとの両立にはちょうどいいリズムだったりします。
子どもの体調が悪い日は側にいられます。学校行事にも参加できます。野球の遠征があれば、そこに合わせて仕事のペースを調整できます。
時間に縛られない働き方を選んだことで、子どもの「やりたい」に全力で応えられるようになりました。それが、この仕事を10年以上続けてこられた一番の理由かもしれません。
結局、最初の一歩はなんだったのか
振り返ると、難しいことは何もしていませんでした。
資格を取ったわけでも、スクールに通ったわけでも、SNSで営業したわけでもありません。
ただ、初心者だから無理!ではなく思い切って電話を一本かけたこと。
それだけでした。
在宅で手に職をつけたいと思っているママへ。完璧な準備が整ってから動こうと思っていたら、きっと永遠に動けません。
私の最初の一歩は、たった一本の電話でした。遠回りに見えたその一歩が、10年以上続く一本道になっています。
皆さんにもできるはずです!応援しています!




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